本当は無用なものと知りつつも、クラブ・ミュージックが構造的に抱えていた “カテゴライズ” という風潮を軽々と飛び越えて現れた TOWA TEI の1stアルバム。Deee-Lite のメンバーとしてヒットを飛ばしてきた彼が、ソロとして打ち出したのは未来のイージー・リスニングという形だった。エレクトロニクス全開のオールド・シネマ・ソング “I Want to Relax, Please”、その秀逸なタイトルがアルバム全体のコンセプトを象徴的に伝える “Technova”、エモーショナルなブラジリアン “Batucada”、王道R&B “Luv Connection”、これぞラウンジとも言うべき “Meditation!”、エイジアン・ダンス・ビート “Son of Bambi” など、曲ごとに違う世界へといざなってくれるラインナップ。後にこうしたスタイルの作品は数多く作られたが、本作がリリースされた1994年時点ではまだ珍しく間違いなく先がけとなる1作であった。時間が経っても風化せずに新鮮な驚きをもって聴けるところがすごい。