先達のロックヒーローたちにオマージュをささげながら、ロックのエネルギーを呼び起こしてみせた2002年のアルバム。前作『孤独の太陽』はアコースティック色の強いプライベートな作風だったが、本作では一転、THE BALDING COMPANYと名付けられた参加ミュージシャンたちとの共同作業によるバンドアレンジの楽曲を数多く収録。軽快なサザンロックに外交を風刺するような歌詞をつづったタイトルチューン「ROCK AND ROLL HERO」や、ピアノとストリングスに彩られたジョン・レノン風の「影法師」、ボブ・ディランばりの節回しが映える「夏の日の少年」など、桑田に影響を与えた洋楽サウンドがさまざまな形で表れている。一方で、ブルース歌謡的なシングル曲「東京」や、古い唱歌のようにノスタルジックな響きをもたらす「ありがとう」では、日本を代表するロックアーティストとして独創的なスタイルを打ち出している点にも注目してほしい。