2016年の公開ライブオーディションでグランプリを獲得し、その実力が広く知れ渡ったタイミングでリリースされた7曲入りの作品。もう別れてしまった彼女を回想する「いつか」は、小説のようなストーリー性を持ったラブソングで、恋人と過ごした日々の情景を描きながら切ない結末へと向かっていく。その豊かな表現力が注目を浴び、ミュージックビデオが動画投稿サイトで異例の再生回数を記録した。後悔の中でふがいない自分を見つめるビターな失恋ソング「ナイトクロージング」、ロードムービーのように移り変わる景色の描写で心の変化を表現する「マザーロード」など、ままならない恋の行方を物語る歌は、淡く切なく、静かな情感をたたえている。フロントマンである石原慎也の歌声は繊細でありながら力強く、どこか少年っぽい青さも併せ持っているのが魅力。調和の取れたアンサンブルは安定感と包容力があり、奥深い音色で歌の世界をやわらかく彩っている。