フォルクローレ風アレンジで記された"ハルジョオン・ヒメジョオン"の「私だけが変わり みんなそのまま」という歌詞そのままに、"松任谷"名義でアーティストとして再始動した作品。全作品を通して穏やかな作風で、"地中海の感傷"や"紅雀"に代表されるサウダージ感がアルバム全体に通底しており、あえてドラマ性やエンターテインメントを持ち込まず、古くからのファンに届けられた私信や随筆のような雰囲気を醸し出している。バックを支えるアーティストも、それまでのキャラメル・ママ路線から斉藤ノブや松原正樹らパラシュートの人脈へと移行したこともあってか、シックなサンバやボサノヴァなど、ラテン色の強いサウンドに仕上がっている。