ボーカロイドプロデューサーのナノウとしても知られるコヤマヒデカズ率いる3ピースバンド、CIVILIANのセカンドフルアルバム。地球の生命が尽きようとしている未来からのメッセージ「遙か先の君へ」で幕を開け、神の視点で人間の価値を問う「ぜんぶあんたのせい」、人生を懲役刑に例えた「懲役85年」など、シニカルな語り口で現代社会が抱えるゆがみを浮き上がらせる。そしてオリエンタルなサウンドで内省的な世界観を描く「千夜想歌（センヤソウカ）」と「導（シルベ）」を経て、後半は迷い葛藤しながらも、いかに生きるか、そのためにどうするべきかを自らに問う歌が並ぶ。熱気に満ちた歌とバンドサウンドは、怒りや悲しみなどの感情が渦巻きながらも、答えのない問いに挑み続ける確かな情熱が感じられる。そしてその力強い思いは、どんな時代でも自分の好きなことに向かって生きる力をともせる作品であるようにという願いが込められたタイトル『灯命（トウメイ）』にも表れている。