Queendom

Queendom

“女神君臨”。Awichは「GILA GILA」の歌詞で高らかにこうラップする。自らがクイーンであることを示すアルバム『Queendom』は、彼女の覚悟と決意が詰まった濃厚な内容だ。「『Queendom』は私の人生を描いたもの」と、AwichはApple Musicに語る。そのオープニングを飾るタイトル曲は、聴く者を彼女の理想郷へと誘う強力なパスポートだ。そこから、アルバムを通して全速力で駆け抜けるようにAwichのストーリーが展開していく。「今までは、頂点を取るとはっきり宣言する勇気がなかった。でも、これからはちゃんと腹をくくって、私のキャリアを進めていきたいと思うし、日本の音楽シーンやヒップホップシーンのために私もできることをやる」と、Awichは全13曲に反映された意気込みを語る。先行楽曲として配信された「口に出して」「どれにしようかな」といった楽曲は、どれも女性たちの背中を押し、自由な決断を促す内容にも聞こえる。「選択肢は自分たちにあって、それを選ぶ権利も自分たちにあるということを伝えたいし、自分にもリマインドしたい」2020年からメジャーフィールドへ身を移し、音楽的にもさまざまな挑戦を重ねてきた。アルバムに関しては、これまで通りChaki Zuluをメインプロデューサーに従えている。ポップス的な耳触りを意識しつつも、まず第一に飛び込んでくるのは、これまでと変わらない強烈なヒップホップサウンドと、強気なパンチラインの数々だ。「ヒップホップ畑を捨てて自分だけマスに行くのではなくて、ヒップホップ全体のシーンをマスに持っていくという意識で作った」とAwichは明かす。ゲストにはYZERRやANARCHY、JP THE WAVYといった第一線のMCらをそろえている。そして、それぞれのローカルなヒップホップコミュニティを歌う「Link Up」には、¥ellow BucksとKEIJUが参加し、アルバムにさらなるアクセントを加えている。『Queendom』は、ひたすらタフな面を押し出しているだけではない。「Revenge」「44 Bars」といった曲を聴けば、彼女のより繊細な部分を感じ取ることができるだろう。Awichは言う。「そうした部分を曝(さら)け出すのは、勇気がいることだった。でも、自分がそうすることでつらいことを抱えている人たちも“自分もいけるかも”と感じてもらえるようにしました」。地元の沖縄から飛び出し、娘の命を授かったアトランタを経由して、今は日本のヒップホップシーンを背負う存在となったクイーン。覚悟を決めたAwichがさらに地図を塗り替えていく様子を、しっかりと目撃してほしい。

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