our hope

our hope

「一つ新しい扉がひらけて、まだまだできることあるなっていうことに気付いてすごく自信になりました」と、羊文学の塩塚モエカ(Vo/G)はApple Musicに語る。前作『POWERS』から1年4か月ぶりに届いた羊文学のメジャーセカンドアルバム『our hope』。その制作過程を振り返って、塩塚は「前作を作り終えた時に、もう自分たちだけでできることはやりきったかなという気持ちになったんです」と話す。バンド内では外部プロデューサーを迎える案も出たが、まずは自分たち自身で新たな音を研究することになった。そこでソングライティングを担う塩塚がシンセサイザーを手にしたところ、新機軸の楽曲が生まれた。「『OOPARTS』のシンセ音は私のおうちで弾いて録った音がそのまま入ってます。あと『hopi』も私がシンセで作ったデモにかなり近いかな。他にもいろんな試みをやってみて、そうしたら自分たちだけでもこんなにできるじゃんって思えたんです」3人は新たにつかんだ感覚をもとに次なる音楽地図を描いていった。夜明けの静かな出航をサイケデリックな音像で描く「hopi」。くすんだ街で夢を見るボーイ&ガールの物語「電波の街」。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を彷彿(ほうふつ)させる壮大なファンタジー「ワンダー」。塩塚モエカのつづる詩的な言葉が、淡く美しい情景を描く。「私はずっと洋楽を聴いてきたから、歌詞はずっと音としての響きに重きを置いてたんです。でも、ここ2、3年はやっぱり歌詞は大事だなって改めて思うようになりました」と彼女は言う。「例えば『光るとき』では“世界は美しいよ”と書いたんですけど、それは単純に美しいと言いたかったというより、その裏にあるいろんな気持ちを踏まえた上での美しさを伝えたかった。物事ってそんなに簡単に肯定できないと私は思う。だから自分の思いを押しつけすぎないように心掛けています」「光るとき」で歌われるように、人々は今、混沌とした時代に生きている。だからこそ羊文学は、本作に『our hope』というタイトルを付けた。塩塚は言う。「一筋の光を探してるんですよね。探してる途中なんです、ずっと」。混沌の中で羊文学が奏でる音は、開け放った扉から吹きこむ春風のように柔らかく、何かが始まる予感に満ちている。

国または地域を選択

アフリカ、中東、インド

アジア太平洋

ヨーロッパ

ラテンアメリカ、カリブ海地域

米国およびカナダ