青二才

青二才

「自分はまだまだ未熟な子どもで、まだまだ成長できるなと思いました」と、和ぬかはApple Musicに語る。2020年、SNSに投稿したショート動画の「寄り酔い」が爆発的にシェアされ、一躍注目の存在となった和ぬか。彼は当時を振り返り、「あの時は音楽活動をしようなんて思っていなくて。思いついた『寄り酔い』のサビを趣味のギターで弾き語りしてSNSに乗せてみたら急にバズって、本当にびっくりでした」と語る。その盛り上がりを受けて制作した「寄り酔い」のフルバージョンも高い評価を受け、そこから彼は怒濤(どとう)の勢いでオリジナル曲を発表していく。そして2022年夏、初のフルアルバム『青二才』を完成させた。 アルバムには、ほのぼのとしたアコースティックサウンドやエモーショナルなギターロック、アグレッシブなエレクトロミュージックなど幅広い楽曲がそろった。サウンドアレンジを手掛けたのは、ボーカロイドプロデューサーの100回嘔吐。和ぬかは言う。「100回嘔吐さんはもともとアレンジャーとして好きなアーティストで、『寄り酔い』のフルバージョンを作る時に無理かなと思いつつお願いしてみたら、快くオーケーしていただきました。そこから毎回お願いしているんですけど、制作はデータのやり取りのみで、一度もお会いしたことはないんです」 この2年間で「ゼロからものを作る楽しさを知り、それが音楽の良さだと思った」と語る和ぬか。音楽に向かう姿勢も少しずつ変化しているという。「もっと多くの人に聴いてもらえるような楽曲を作りたいと思うようになりました。自分の思いを伝えたいときもあるけど、他の人の気持ちに寄り添った曲も書きたい。自分じゃ分かりにくい感情を抱えている人もいると思うので、それを分かってあげたい。そんな感覚は最初はなかったけど、作っていくうちにどんどん現れてきました」。タイトルの『青二才』は、アーティストとして成長途中である自分を表した言葉。和ぬかは「音楽の知識もなく作詞/作曲をしてきたけど、その中で自分に足りないものや改善点も見つかった」と言う。そんな彼の現在地を示す本作より、以下、いくつかの曲を解説してもらおう。 ブラウニー いたずらする妖精ブラウニーを主人公にした曲です。“警戒体操”というのは、いたずらをしてくる女の子に対して、男の子が警戒して臨むための行動。僕は歌詞を書くときに経験を入れることはほぼなくて、想像からストーリーを広げることが多いです。これはちょっとマニアックな感じが出てますね(笑)。 ミミクリーマン (feat. NEE) 例えば自分が好きな服を、インフルエンサーの方が「ダサいよ」とメディアで言ってたとしても、自分が好きなら着たいという思いから作った曲です。ファッションでも点数を付ける場合があると思うんですけど、そういう時は満点も0点もなくて、みんな8点だよ、みんな仲良くしてねっていう思いを“望みは何点?八点”というフレーズに込めています。 ビーユアセルフ 曲作りを始めた頃は自分の好きなテーマや言葉を入れていましたが、作っていくうちに誰かの心を肯定してあげるような曲を書きたいと思うようになり、“ありのままであなたらしいよ”と歌うこの曲を作りました。自分の曲を聴いて少しでも救われる人がいたら、僕もうれしい。こういう曲をこれからも書いていきたいです。 ロックでキス (feat. もっさ) 以前からネクライトーキーさんが好きで、もっささんのかわいらしい声と僕の声がもしかしたら合うかな、なんて思ってお願いしてみました。僕がいつもより低い音域、もっささんの1オクターブ下を歌っていて、いい感じにまとまったかなと思います。 ラブの逃走 恋って、好きだけではやっていけないこともあると思うんです。例えば遠距離とか、お互いに好きだけど性格が合わないとか。それで離れなきゃいけなくなったときに、物理的に離れてもまだ心は好きなまま、自分の中のラブは去っていないから、自分のハートに向かって“逃げ去って”という曲です。この曲ではカウベルとタンバリンも担当しました。僕はカウベルの音が好きで、SNSのプロフィールにも“カウベルヒューマン”と書いてます(笑)。“カウベルが入ると和ぬからしいサウンド”という印象を付けたいですね。 ヨセアツメ メロディが和風だとよく言われるのですが、自分で意識したことはないんです。どこからインスピレーションを受けてるのか自分でも分からないんですけど、たぶん日本の童謡とかを聴いて知らないうちに染み付いていて、それが自然と出ているんだと思います。そうした中で、この曲は和風な曲を作ろうと意識して作ってみました。

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