パンデミック下での支援活動を行いながら、親交を深めてきた多数のミュージシャンと共に制作した全17曲によって、これまでの人生と音楽の長い航海を描き出した集大成といえる作品。Kan Sanoや山本達久らからなるストレイバンドや、ストリングスアレンジを手掛けた沢田 穣治、梅津和時、石橋英子、Dorian、石若 駿ら、世代を超えたミュージシャンたちをフィーチャー。フォークからジャズ、ソウルまで、自由に広がるポップスの豊かな響きを謳歌（おうか）している。一方でその歌詞世界は、身を切るような厳しい現実や悲しみと実直に向き合いながら、未来に向かって生を紡ぐ者の背中を優しく、そして力強く後押しする。入国管理局の人権問題を扱った「入管の歌」やアメリカにおける人種差別の歴史と人間の力強さを描いた「ソウルフードを君と」、エンパワーメントをもたらす「if you just smile(もし君が微笑んだら)」など、その楽曲は社会や時代を反映させている。人とのつながりの中で作品を生み出し続けてきたシンガーソングライターが持つ、説得力と創造性が余すところなく注ぎ込まれている。