Steppin' Out

Steppin' Out

「もうそろそろ次の場所へ行きたいという気持ちがあったんです」と、堀込高樹はKIRINJIのアルバム『Steppin' Out』についてApple Musicに語る。兄弟ユニットからバンド編成に変わった後、堀込高樹のソロプロジェクトになったKIRINJI。ソロとなって初めて発表した前作『crepuscular』(2021年)は新型コロナウイルスがまん延する時代のムードを色濃く映し出していたが、今作はそこから大きく「Steppin' Out」、つまり「外へ踏み出した」と堀込は語る。「コロナの次に行きたいですし、世の中も次のフェーズに移ろうとしている空気を感じます。あと2022年に初めて弾き語りのツアーを行い、そこで音楽的なマインドが温まった感じがして、そのまま制作に入ったので、全体的に明るめの作品になったのではないかと思います」 「素敵な予感は感染るよ広がるよ」と世界をポジティブなイメージに書き換えていく「指先ひとつで」。「新しい季節を生きよう 素敵な予感しかない!」と伸びやかに歌う「Rainy Runway」。堀込は「『素敵な予感』という言葉がいい感じだなと思った。歌詞は基本的に、何かいいことがあるかもね、と明るい結末を予想させるものにしたかったんです」と語る。夜明けのランニング中、目に映る景色を描く「Runner’s High」も素敵な予感に満ちている。「この曲はメロディとアレンジが先に全部できていて、歌詞を付けるのが難しいなと思っていたところで、ランニングが合うんじゃないかと思い付きました。僕はたまにジムのランニングマシンで走るんです。あれは最初かったるくて、スピードを変えたり角度を変えたりして30分くらい走るうちに、気付けば身体も気持ちも上向きになっている。その感覚をだんだん盛り上がっていく曲調に落とし込んでみました。実はランナーズハイなんて一度も感じたことないんですけどね(笑)」 YELLOW MAGIC ORCHESTRAを思わせるようなエレクトリックなサウンドの「不恰好な星座」は、命あるものが必ず迎える結末について歌っている。しかし、そこにあるのは悲しさや寂しさだけではない。「制作している時に自分が好きだったミュージシャンが次々と亡くなってしまった。高橋幸宏さん、坂本 龍一さん…スターがどんどんいなくなって寂しかったけれども、彼らが残した作品は輝き続けています。今、僕らが夜空に見る星はもう存在していなくて、光だけが届いている。それと同じように、星は消えていて欠落感はあるけれども、その輝きを受け取って我々は生きていかなければいけない、という歌です」 「ほのめかし (feat. SE SO NEON)」は、韓国のロックバンドSE SO NEONと共作した。「SE SO NEONはボーカル/ギターのソユンさんのたたずまい、特にギターの弾きっぷりがかっこよくて、以前から注目していました。SE SO NEONのロックは日本や欧米のロックとはまた違ってエキゾチシズムを感じるというか、少し不思議な感じがしてすごく引かれます」。KIRINJIは2023年8月に韓国を代表する野外音楽フェスティバルに出演し、そこでもSE SO NEONと共演した。「韓国のリスナーの人たちにものすごく歓迎をしていただいて、自分たちの音楽を求めてくれる人がこんなにいるんだと感動しました。SNSを見るとラテン語圏や欧米の人にも聴いてもらっているようで。これからも海外のフェスに出演し、ゆくゆくはワンマンライブができればいいな」。困難な日々をくぐり抜け、その先へ向かうKIRINJIの歌が明るい未来を連れてくる。

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