劇場

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心地よさの中に少しの歪(いびつ)さを潜ませた歌が心をざわつかせる。2022年に発表した「Overdose」がSNSで大きな注目を集めたシンガーソングライター、なとり。素顔を明かさず謎に包まれた彼のファーストアルバムは、多くの人々が日々感じている悲しみや焦燥、孤独、秘めた愛などがリアルに描かれている。“この世は猿芝居”と歌う「猿芝居」では、やるせない思いをどこか客観的な視線でとらえ、シニカルでありながら切実な感情もにじませる。人生の舞台を“劇場”に見立てたタイトル曲では、重要な場面を演じ切れなかった自責の念をつづりつつ、そこに流麗なメロディとドラマチックなジャズサウンドで色付けすることで、本音と虚言が入り交じるようなスリリングなムードを生み出している。乾いた咳の音で始まり、咳の音と共に幕を閉じるこの物語は、虚構か現実なのか。 艶(つや)やかな歌声がリスナーの心を惑わせるように響く一作。

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