ROUNDABOUT

ROUNDABOUT

2023年、テレビアニメのテーマソングとなった「青のすみか」のヒットや紅白歌合戦への出場などを通して知名度を上げたキタニタツヤ。5作目のアルバムとなる本作は、その勢いと共に深い知性を示すものとなった。終わりを想定することで生きる力を鮮明に描く「私が明日死ぬなら」、愛と孤独と欲望が渦巻く「キュートアグレッション」、痛みや傷も自分を形成する重要な要素だと認識する「スカー」。自分自身を問い続ける彼の歌は、時に辛辣(しんらつ)で、時に自嘲気味だが、繊細でみずみずしい感情が通奏低音として流れている。彼は分かりやすく人生を肯定したり、安易な期待を持たせたりはしない。その代わりに、「大人になっても」では自身の至らなさを吐露し、「君のその苦しみはずっとあるよ」と事実を告げる。しかし、そこに暗い響きはなく、事実を認識することで心の曇りを晴らすような力強さがある。タイトルの『ROUNDABOUT』は“遠回しの、回りくどい”を意味する言葉で、それはまさに、核心を突くために多様な表現方法を探る彼の姿勢を表したものといえるだろう。

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