1995年12月に初の東京ドーム公演を成功させ、ロックバンドとして名実ともにスケールを増していったLUNA SEA。バンドのキャリアがさらなる大きな波に乗っていくタイミングでリリースされたのが、1996年の5作目アルバム『STYLE』だ。その状況に慢心することなく、むしろ宣戦布告するような挑戦的な作品になっている。多種多様なサウンドとエッセンスがちりばめられ、それを自分たちの“STYLE”として昇華した。レコードに針を落とす際の柔らかなノイズで始まる「With Love」ではスウィートな50年代のロックをよみがえらせ、電子音やバイオリン、ノイズの雨をドラマティックに降らせて物語を盛り上げる。「Ra-Se-N」は変則的な拍子と繰り返されるギターフレーズ、ささやくようなボーカルの絡みが不可思議な次元へと誘う。アルバムのラストに据えられた「Selves」では、残響を抑えたボーカルから徐々に音が広がり、次第に恍惚感に満ちあふれていく中で、神聖なギターアンサンブルが空に昇っていくような美しさを放ちながら、アルバムは幕を閉じる。