リードボーカルを務めたシンバルズ解散後、2005年のソロデビューアルバム「Debut」を含めた2枚のオリジナルアルバムと、多くのカバーアルバムを発表してきた土岐麻子の3作目となるオリジナルアルバム。アルバムに先がけて、本人も出演したユニクロのCMソング "How Beautiful" や、日産「ティアナ」のCM用に作られたビル・エヴァンス "Waltz for Debby" に日本語詞を付けたカヴァーが話題になるなど、まさに満を持してとの表現がふさわしい状況でのリリースとなった本作は、サウンドテクスチャーこそこれまでの作品と比べても大きな変化は見られないものの、楽曲面での幅広いアプローチは彼女のキャリアにおいては新機軸と言えるものになっている。かつてカテゴリーとしてはジャズボーカルの延長上としてのオリジナルもあったが、本作でのさかいゆうによる "How Beautiful" はそういった手法のピークとしてのメルクマールになるだろう。さらに、くるりの岸田繁のペンによる "ふたりのゆくえ" という強烈な個性の投入、川口大輔によるミディアムナンバー "ホロスコープ" など、これまでのジャズ/シティポップスのシンガーという枠を越えたエポックメイキングな作品となった。
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