シンシロ

シンシロ

エレクトロニック・ミュージックとバンド・サウンド、その最良の融合点に新しいポップ感覚を模索する5人組バンド、サカナクションのサード・アルバム。地元北海道から上京した最初の作品である本作で心機一転を図っている。高速なブレイクビーツから4つ打ちに変化するリズムを下敷きにしながら、ロックに振り切ってみせた先行シングル “セントレイ” はその変化の始まりを伝える狼煙のような楽曲だ。ヴォーカル/ギターの山口一郎が一手に手掛ける楽曲を、本作にあっては4人のメンバーが分担でアレンジする新体制でレコーディング。その結果、1曲1曲が徹底的に作り込まれていると同時に各人のアイディアが豊かなサウンド・カラーとなってアルバムに注ぎ込まれている。 Justice に象徴されるロック・マナーのエレクトロと90年代後期のフレンチ・ハウスを曲中で同居させたオープニングの “Ame(B)” やピアノの弾き語りがテクノへと鮮やかにスウィッチする “ネイティブダンサー” 、フォーキーなバンド・サウンドに現代的な音処理を施した “黄色い車” など、その表現の振れ幅もかなりのもの。一方で山口はモラトリアムな季節との決別をテーマに、歌詞世界においてはパーソナルな心情に肉薄。バンドが迎えた変化にずっしりとした質感を与えながら、サカナクションは節目越えの瞬間を全11曲で描いている。

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