空を飛ぶ鳥のように 野を駈ける風のように

空を飛ぶ鳥のように 野を駈ける風のように

世間の注目を浴びる中、前作『歩き続ける時』(1978年)に続いてチャート1位を獲得した、通算4作目にして初期の代表作の一つ。この時期の松山は前年の1978年に「季節の中で」が大ヒットしたことで時の人となっていたが、自著『足寄より』(1979年)ではその事象を肯定的に捉えながらも自分なりの姿勢を貫くことを宣言。精力的なライブ活動の合間を縫って作り上げた本作のアプローチも、その一環だった。その特徴はタイトル曲「空を飛ぶ鳥のように野を駈ける風のように」をはじめとしたストリングスのオーケストラの導入で、これによって各曲の叙情的な味わいが深められ、一般的なフォークのイメージを超えた聴き応えをもたらした。恋愛や女性に対する意識を描いた「かわいい女はかわいいままで」、この時期のコンサートツアーのタイトルにもなった7分を超える大作「生きがい」、人気曲の「卒 業」(ヒットシングル「窓」のカップリング曲の別バージョン)など、どの曲も繊細でありながら堂々とした歌唱が印象的。そのどれもが23歳当時の松山の、うそ偽りのない心模様なのだろう。北海道という土地に住み、歌を歌いに旅に出て、その生活の中でのロマンや哀愁、感傷を表現するこのアーティストのスケールの大きさが感じられる作品。

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