デビュー・アルバム「Vampire Weekend」が全世界で大ヒット&評論家筋からの高い評価という大成功を手に入れた Vampire Weekend。Talking Heads さえ引き合いに出されるほどのアフリカ音楽から拝借したアフロ・ビートは健在で、前作で印象的だったヒップホップ以降の分厚い音像や、ストリングス、しっかりと鳴らすギター、パンクからの影響を感じさせるバンドのテンションなどもそのまま。しかしながら、そのどれもが確実にパワー・アップしていて、目新しさもあるという理想的な2ndアルバムに仕上がっている。そしてカウパンクを思わせるロールを決めるドラムとギターが印象的な先行シングル “Cousins” からも分かるように、あの天才的なソングライティング・センスがまぐれでなかったということが何よりもうれしい。メンバーが Discovery 名義で個別活動した経験を生かしてか、エレクトロニクスの導入が一段進んだのは目立つトピックと言えるだろうが、何を考えずとも素晴らしいと理解できる文句なしの傑作だ。