WACKY PACKAGES

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タフなバンド・アンサンブルとロマンチックな男の歌心に満ちた作品である。1994年4月の渋谷クラブクアトロでの模様を中心に構成したもので(“ジョンとメリー”のみ1月公演のテイク)、油が乗ってきたバンドのフレッシュな姿が捉えられている。同年のカーネーションは夏にアルバム「EDO RIVER」をリリースし、5人編成によってアーシーなアメリカン・サウンドを標榜しはじめた頃。しかしこのライヴ盤では、ブリティッシュ・ポップの影響が強かった過去の楽曲ばかりを集め、自分たちをあらためて構築し直そうという意志表示をしている。フロントマンの直枝政太郎(当時/のちに本名の“政広”に変更)のそうした意識は、スワンプ的なキーボードと武骨なドラムスに濃厚に反映されており、またゲストの中にサックスまで招くなど、スケールの大きな音楽性に真っ向から挑んでいる。この後彼らは渋谷系によってソウルフルなサウンドが注目される波と符合し、好調のまま90年代を駆け抜けていった。その上昇曲線を思うと、本作の演奏に発展途上な感は否めないが、何よりもバンドが一点に向かって注力しているエネルギーが爽快なのだ。とくにアンコールでの定番曲である “夜の煙突” (森高千里でも有名)の盛り上がりは格別である。

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