ポっぷ

ポっぷ

本人によると、自分の音楽にはポップな部分があることからこのアルバム・タイトルをつけたとのこと。その言葉どおり、たとえばスマッシュ・ヒットした “I wanna see you” は弾けるような感覚が親近感を覚えさせるナンバーだし、ほとんどテクノポップのような “モンロー” ではユーモラスなほどの明るい楽しさがあふれている。これらの曲のほとんどは、阿部真央自身が高校時代から作っていたものということだ。ただ、やはり彼女の歌の特性が、その心の内側に抱える孤独や喪失感を訴える激しさや熱さにある点は、この2ndでも微動だにしていない。情緒的な深まりを見せるバラード “貴方の恋人になりたいのです” の切なる思いの大きさ。そして10代の終わりに書かれた “いつの日も” は、失恋がきっかけでありながら、そこから感謝の思いに至った気持ちを託した曲だ。ここには、若いがゆえの青さと、その夢が破れたことで過去を見つめ、そこから先に進もうという気丈さが見える。また “サラリーマンの唄” のように、リアルな自分と視点を変えた歌を作れるのも、このシンガー・ソングライターの可能性の大きさを感じさせる。デビュー作にはまだ粗削りな部分があったが、ライヴなどを積み重ねた経験がしっかりとした作品作りを促したのだろう。より前進した姿を見せた好アルバムだ。

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