透明感のあるボーカルとダイナミックなバンド・アンサンブルで独自の世界観を描く3人組ロック・バンド、People In The Box。約3年振りとなるフル・アルバムは、「東京」「ベルリン」「ストックホルム」など、国名や地名を冠した楽曲が並ぶ。純粋無垢な歌声にヘビーなサウンドが交錯する “アメリカ”、ファンキーなベース・ラインに衝撃的なライミングが乗る “旧市街”、ドリーミーなサウンドと鮮やかなハイ・トーン・ボーカルが印象的な “スルツェイ”、静かなイントロから一転しプログレッシブ・ロックのようなドラマチックに転調する “JFK空港” と、迫力に満ちたサウンドが、ストーリーの断片を描くような詩世界を伴いながら展開していく。全12曲それぞれがエッジの効いた個性を持ちつつも、アルバムトータルで1つの物語性を帯びていて、アルバム・ラストの “どこでもないところ” に到達すると、不思議な爽快感に包まれる。中毒性の高いポップ・ミュージックを大胆に奏でた作品だ。