Barbecue

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湘南の地から日本語によるポップサウンドを追求し続ける岩沢幸矢と二弓の兄弟コンビが1974年に発表した、最高傑作との呼び声が高いサードアルバム。前年にスティーヴィー・ワンダーと交流を持つなど得難い経験を重ねた2人は、クリエイティビティのピークを迎えようとしていたのだろう。仲間たちと共同生活を送る茅ヶ崎の邸宅でのパーティーを写したアートワークは、ポップでリラックスした本作の雰囲気そのもの。この集まりの後にリビングで録音されたのが、The Youngbloodsのカバー「アフター・ザ・バーベキュー “ゲット・トゥゲザー”」だ。アルバム全体として岩沢兄弟の透明感のある美しいボーカルが印象深く、彼らの代名詞である名曲「ピンク・シャドウ」や、これぞシティポップといえる「地下鉄」などを収録。ソウルやR&B、フォーク、ジャズなど多彩な音楽性がちりばめられ、日本ポップス史の重要作として位置付けられている。「うつろな安息日」「子豚とXXXX」のようなサイケデリックな感覚も注目すべき側面だ。演奏陣にはティン・パン・アレーの細野晴臣や鈴木茂、サディスティック・ミカ・バンドの小原 礼が参加。ブレッド&バターの存在が音楽シーンで広く知られたのはこの数年後に山下達郎が「ピンク・シャドウ」をカバーして以降のことだが、そのオリジナルを含む本作が上質なポップアルバムであることは揺るぎない事実である。

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