Life Goes On

Life Goes On

下岡晃と佐々木健太郎という2人のヴォーカリストの歌をメインにするアナログフィッシュだが、本作であらためてクローズアップされたのはパワフルなドラミングと大声量コーラスがおなじみのドラマー・斉藤州一郎だった。2008年に病気療養のためバンドを脱退した彼は、前作『Fish My Life』に不参加。ところが翌年、今アルバムの制作が途中まで進んだ段階で斉藤が電撃的にバンドに復帰することになったため、ここでは彼抜きで活動していた時期のバンドの心情と、彼が帰ってきたことでまた新しいスタートを切った3人の喜びがない交ぜになった状態で音に還元されているのだ。ポスト・ロック的な方向性を見せる 「平行」はそもそもは宅録から始まった彼らの原点を見るかのようだし、下岡によるアルバム・タイトル曲の 「Life Goes On」での歌詞は斉藤不在時の思いを託したもののように感じる。また、これは前作からの傾向だが、佐々木作 「ハローグッバイ」での“がんばろう!”という言葉に代表されるように、バンド自体がポジティヴなことをストレートに唄うようになってきた傾向も注目点。ともあれ、3人が経験した労苦はバンドの作風と音の幅にいい影響をもたらした。タフネスを感じさせるアルバムだ。

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