三日月ロック

三日月ロック

幕開けを彩る「夜を駆ける」のピアノとギターのウェットな響きは、本作の魅力である青い切なさを代弁しているかのようだ。オルタナに接近した前作「ハヤブサ」の流れをくんだ「さわって・変わって」(草野マサムネの地元、福岡の天神駅が歌詞に登場)もあるが、アルバムとしてはこのバンドが本来抱える叙情的な文学性が前面に表出している。それに力を貸したのが初顔合わせとなるプロデューサー、亀田誠治だった。さらに2012年リリースの本作は前年の9月にアメリカで起きた同時多発テロの影響を受けており、例えば草野は「ハネモノ」について人々の不安を和らげるような曲を作る意志があったと語っている。この曲や「ガーベラ」では打ち込みを使用したアレンジが効果的で、かたや「けもの道」では一気呵成(いっきかせい)に駆け抜けるバンドサウンドが健在。ベテランになった彼らが底力を発揮した通算10作目である。

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