ハードロックを奏でる彼らのスタイルを決定的にした一作。松本孝弘のギターリフがたくましい「THE GAMBLER」をはじめ、シングル曲でありながらハードな路線の「ZERO」、稲葉浩志がアメリカを旅した経験を歌詞にした「MR.ROLLING THUNDER」と、その音楽的なベクトルは明確だ。メロディについてもマイナー調の楽曲が増え、「紅い陽炎」ではブルージーな感覚が強調されるなど、全体的なロック感が増進している。こうした稲葉の歌声、松本のギターがその肉感的な魅力を録音作品に収めるのに成功しているのは、デビュー当初からテンションの高いライブを続けてきたことの成果でもあるのだろう。本作では、強固なサウンドの実現のために、本作ではライブでバッキングを務めるメンバーとのセッションから作り上げるという試みがなされており、それも見事に奏功している。「RUN」「さよならなんかは言わせない」「月光」とファンの間で人気が高い楽曲たちも見逃せない。