1980年のデビュー以来、数々の名曲を発表して日本のロック・シーンを牽引してきたシンガー・ソングライター、佐野元春。彼が2004年のアルバム「The Sun」リリース後に行ったツアーのファイナル、2005年2月のNHKホールでのライブを収めた作品。全曲が「The Sun」に収録されている楽曲で、同作が持っている突き抜けるような力強さに、ライブの現場だからこそ生み出せるようなエネルギーが注入されたパワフルな歌と演奏が印象的なアルバムだ。特にスタジオでのレコーディングを共に行い、全国ツアーも共に回ってきたホーボー・キング・バンドとのコンビネーションは抜群で、タイトなライブ・サウンドで佐野元春らしいロックンロール、佐野元春らしいポップ・ミュージックを聴かせてくれる。時にシニカルに、時にユーモラスに、しかし、その芯の部分では音楽に真摯に向き合い、ピュアでポジティブな音楽の力を解き放とうとする姿勢を常に持ち続け、優れたシンガー・ソングライターであると同時に、一流のライブ・パフォーマーでもある。そんな佐野元春ならではの、ある種の貫禄すら感じさせる痛快なロックンロール・ライブ・アルバムだ。