圧倒的な歌唱力で日本の歌謡界を支えてきた岩崎宏美による、1982年作の通算11作目となるオリジナルアルバム。大人のシンガーとしての再出発を飾ったミディアムテンポのバラード「聖母たちのララバイ」や松本隆作詞の人気曲「檸檬」が収録されている。1980年代に入り、より幅広いジャンルの楽曲を歌うようになった彼女は、本作で当時の日本の音楽シーンを席巻していたAOR的なサウンドメイクへのアプローチを試みる。フュージョンテイストの「China reef」や「エトランゼ」といったナンバーでは、洗練されたアレンジと歌詞を通して、自身の成熟した姿を描き出す。他にもファンキーなベースのリフが印象的な「飛ばして,TAXI」や「52 階のオフ・ステージ」、当時流行したエレクトロポップを意識した「恋は戦争」など、今までとは違ったテイストの楽曲が並ぶこのアルバムは、世代を超えて多くのリスナーに愛され、代表作の一つとなった。