キリンジの「弟のほう」であるメインヴォーカルの堀込泰行によるソロプロジェクト、馬の骨のファーストアルバム。6年にもおよぶ構想の末、実ったプロジェクトとのこと。サポート陣には、キリンジでもかかわりのある沖山優司、ノーナ・リーヴスの小松シゲルらが参加。1曲目の、オリジナルアルバムを目にする者はいないであろうカルト的人気を誇る70年代のシンガーソングライター、ロバート・レスター・フォルサムのカバー "My Stove's On Fire" という選曲からしても、彼がキリンジとは別にソロアルバムをつくる理由が見えてこようというものだ。この曲を本作のアイコンのごとく冒頭に掲げるだけあり、本作ではキリンジで見られる複雑かつ高度なアレンジは影を潜め、彼のアーシーでフォーキーといったシンプルな側面が前面に押し出されている。それは、馬の骨的オールディーズ "センチメンタル・ジャーニー"、ベース音の動きひとつで曲の表情を変えてみせる "枯れない泉"、エルヴィス・プレスリーで知られる "I Want You, I Need You, I Love You" のカバー、’80sR&Bな趣きのベースラインが印象的な "PING & PONG"、アーバンAOR "Red Light, Blue Light, Yellow Light"、アコギが心地よいエヴァーグリーンポップ "季節の最後に" などの楽曲からも伺うことができる。キリンジでは出会えなかった曲たちが肩を並べている。