わすれもの

わすれもの

バイオリンを弾く佐田雅志(さだまさし)、ギターの吉田政美という異色の楽器編成から成るフォークデュオのグレープは、1974年春の2枚目のシングル"精霊流し"の大ヒットで一躍注目の的となり、夏にはこのデビューアルバムが発売される運びとなった。長崎の伝統行事をモチーフにした同曲は死を歌った曲として知られているが、アルバムには叙情的なフォークソングが集められており、しっかりと歌の世界を形成している。子どもの頃からクラシックの素養を積み上げてきたさだまさしのメロディは、どことなく懐かしさを感じさせながらも完成度が高く、それに湿っぽい文学性をはらんだ歌詞が実にマッチしている。最初のシングル"雪の朝"、ファンに人気の高い"蝉時雨"など、やさしく繊細な歌にあふれる日本的なリリシズムこそ、このデュオの身上だろう。

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