「Kid A」制作時の Radiohead に多大な影響を与えたことで知られる、UKが誇るテクノ・レーベルの老舗 WARP 。その看板アーティストの1つ、 Autechre 。 Rob Brown と Sean Booth の2人からなるこのユニットの9thアルバムが本作「Quaristice」だ。前作「Untilted」はキャリアの上で最もプリミティブなエネルギーを前面に押し出した作品だったが、本作は彼らの歴史を自ら解釈し直すような作品となっている。6thアルバムである「Confield」で極めた複雑怪奇なサウンドは近作同様に鳴りを潜め、本作は Aphex Twin の「Selected Ambient Works」シリーズを思わせるドリーミーなアンビエント曲や、「Amber」「LP5」といった自身の中期を連想させる、アシッドで前のめりなビートを持つ楽曲を中心に展開されていく。手触りとしては”エレクトロニック”という言葉よりも”テクノ”がふさわしい空気感のあるサウンド、前述の通り自身の中期を思わせる楽曲群が特徴である。併せて、彼らには珍しい20曲という収録曲数の多さも非常に印象的だ。