SINGLES 2004-2009

SINGLES 2004-2009

2009年12月に急逝した志村正彦が10年にわたって率いたフジファブリック。彼らがメジャーに在籍した足かけ6年の間のシングルのA面曲のすべてを集めたアルバムである。片寄明人(GREAT3、Chocolat & Akito)がサウンド・プロデュースを務めたデビュー当時の “桜の季節” から “銀河” までの4曲は、四季それぞれを題材にしているように、このバンドの音楽は日本的な文学性をはらんだものだ。その中では、代表曲であるバラードの “茜色の夕日” のような、主人公の脳内を膨らませたサイケデリックな感覚も重要な個性。バンドとしては途中でドラマーの脱退劇があったり、志村がスランプに陥って曲が書けなくなった時期があったり、結果的にラスト・シングルとなったパワーポップ的な “Sugar!!!” では亀田誠治にプロデュースを任せるなどの迷走が見られ、決して順風な活動ではなかった。しかし彼らの曲は、J-ROCKの枠に収めるにはあまりにも叙情性にあふれながら、一方では強烈なストレンジ感をたたえていたりと、他のバンドにはない世界を確立していたことは明白。志村の死後の2010年、BankBand にカバーされたことで広く知られることとなった “若者のすべて” に漂っている戸惑いの感情には不安定さゆえの美しさがあり、それこそがまたフジファブリックの表現の象徴だと言える。

その他のバージョン

国または地域を選択

アフリカ、中東、インド

アジア太平洋

ヨーロッパ

ラテンアメリカ、カリブ海地域

米国およびカナダ