友だちを殺してまで。

友だちを殺してまで。

イメージ以上に高い音楽性を伴ったバンドである。まるで人を食ったような不可思議な名前、動画サイトでの楽曲発表、さらにライヴ中の奇行――と音楽以外の話題のほうが先行してしまったものの、このデビューアルバムに収録されている曲は、いずれも粒揃いだ。その描写は、ビートルズとセックス・ピストルズに最初に触れた時の感動を書いた"ロックンロールは鳴り止まないっ"、疎外感を連ねた"ぺんてる"、"死にたい季節"、"ゆーれいみマン"、学生時代の淡い恋愛感情を込めた"ちりとり"など、中心人物であるの子の、きわめて個人的な思いから始まっているものばかりである。しかしそれ故の切羽詰まった感情表現は、時として透き通ったような爽快さを感じさせるし、どの曲もしっかりとしたフックを持つメロディラインを内在させているのが秀逸。エモーションにぴったりと寄り添う演奏を実践するバンドも、きっちりと存在感を発揮している。の子がスクリームをくり返し、轟音に包まれながら突っ走っていく"学校に行きたくない"での凄絶な迫力は、このバンドの非凡さの突端であろう。リアルな日常では得られない満足を、ネットを介したコミュニケーションでこそ感じてきた若者世代だからこ表現できる、あまりにストレートな心情吐露がここにある。

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