パプアニュージニア人の父を持ち、彼の地で生まれ神戸で育ったEMI MARIA。ブラック・ミュージックをバック・グラウンドに持つシンガーである彼女は、日本の女性アーティストには非常に珍しく、自身でトラック制作も行うという。そんな彼女の1stアルバムが本作「A Ballad of My Own」だ。アルバムに先がけてリリースされたシングル "I gotta -Summer Kiss-" の原曲 "I gotta -Winter Kiss-" 、本人が「これも1stシングルにしたかった」と語るお気に入りのタイトル・トラック "A Ballad of My Own" 、「どんなに着飾っていても中身はすごく寂しかったり悩んだりすることがある」という等身大の女性を描いた "GLITTER" など、ゆっくりと聴き手に染み入ってくる世界観が心地いい。自らトラック・メイキングを手がけることで磨かれた独特の間合いや、低域と高域で表情を変えるハスキー・ボイスなど、ユニークな個性も光る。また、声量だけではない、ズシンと来る波動も持ち合わせており、“静”なイメージの中から、大きく次第に広がっていくような“動”を感じさせる。