amo

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6作目となるこのアルバムで、Bring Me The Horizonはもはやロックバンドとは呼べない存在になった。シェフィールド出身の4人組である彼らはあらゆるジャンルやアイデアを駆使し、カテゴライズ不能な楽曲を仕上げてみせた。「音楽には、誰も越えようとしない境界線や橋があまりに多過ぎるとずっと思っていた」と、フロントマンのオリヴァー・サイクスはApple Musicに語る。「現実の世界は今もそれであふれている。それを越えることが俺たちの“聖戦”なんだと思う」。ポルトガル語で「愛」という意味を示すこの『amo』は、アートポップのビジョナリー、伝説的なビートボクサー、エクストリームメタルのアイコンを招き入れながら、ビタースウィートなポップから電子音による実験主義まで幅広く取り込んだ作品だ。ここでは、サイクスが彼らの“聖戦”を1曲ずつ分析する。i apologise if you feel somethingこのアルバムがどんなサウンドになるのか、事前に誰かに説明するのはほぼ不可能だと分かっていた。だから1曲目で、「どんな予想もしないでくれ。これまで俺たちがやってきたどの曲からも推測できないから」って宣言するのが大事だったんだ。MANTRA曲作りのプロセスが終わるころ、精神的に壊れかけてしまった。曲はたくさんできていたけど、「世界に向けて最初に見せつけるのはこれだ」って言えるような曲がなかった。「MANTRA」はそこから生まれたんだ。これまでのリスナーが疎外感を覚えるほど変わってはいないけど、前作と同じじゃないと分かってもらえる曲。テーマは、恋愛の始まりとカルトの始まりの共通点について――つまり、何かのために自分の全人生を放棄することも厭(いと)わずに、それが自分にとって正しかろうとそうじゃなかろうと、信念の全てを注ぎ込まずにはいられないってことを歌っている。nihilist blues (feat. Grimes)Grimesが俺たちとの共演に興味を持つかどうかさえ、まったく分からなかった。でも彼女は「こんないい曲聴いたことない」って感じですごく盛り上がってくれたんだ。俺は昔からダークなエッジがあるダンスソングが大好きで――原始的っていえるくらいのものに引かれるんだよね。それを自分たちのサウンドに取り入れるのは本当にエキサイティングだった。in the darkこの曲を最初に書き始めたころは、もっと前作の時のようなサウンドに近かった。でもそれがこんなにダークで、ポップなバラードになって、俺たち全員すごく気に入ったんだ。俺はビタースウィートでダークなポップソングが大好きなんだよ。wonderful life (feat. Dani Filth)これはスタジオで歌詞もボーカルも全部1日で仕上げた曲。確かTHE 1975が「Give Yourself a Try」をリリースした日で、それに触発されてマイクの前に立って、思いつくままに歌ってみたんだ。(CRADLE OF FILTHのフロントマンの)Dani FilthのSNSにメッセージを送って、この曲で歌ってみる気があるかどうか聞いてみた。初めは本当に俺だと信じてもらえなくて、「これが確かに君なら、青年よ、答えはイエスだ。ぜひともやろう」みたいな、いかにも典型的なイギリス人みたいな答えが返ってきたんだよね。ouchこの曲は、何かが起きて幸せなんだけど、それを認識するにつれて心を痛めることが多くなるっていう、よくあるほろ苦い体験を歌っている。歌詞はダークになり過ぎずに、控えめな感じにしたかった。そこからこういうジャムっぽいサウンドが生まれたんだ。medicine「ouch」はこの曲の前奏曲みたいなもので、ヴァイブスがつながっている。恋愛状態から抜け出してみるまで、自分が有害な恋愛をしていたとは分からないってことを歌っている。ただ怒りをぶつける曲じゃなくて、ただ、「やっとこうして自分の意見が言えるようになって、俺は一度くらいおまえじゃなくて俺の気持ちについて考えてみることにする」って言っているんだ。sugar honey ice & teaふざけて聞こえるけど、ドラムとかその他もろもろで、これまでと違うアプローチをしてみて、結果的にかなり新鮮に感じられるものを作ることができた。初めの頃はもっとこう…、あえて言わせてもらえば、ヒップホップみたいなエレクトロで、その要素がまだ残ってはいる。やってみたバージョンのすべてをちょっとずつ残してあるんだ。why you gotta kick me when I’m down?離婚とかでつらい目に遭っていたとき、俺が受けた扱いがひどいってかなり説教された。本当に何があったかは誰も知らないのにね。俺の力になってくれていると思っていた人たちからの扱いに、俺はかなり傷付いた。この曲で言っているのは、「よく分かったよ、それでいい、でも愛情や気遣いからそう言っているなんてフリをするのはやめてくれ。そうじゃないから――おまえは人が変化したり成長したりするのが嫌だっていう、おまえ自身の問題を抱えているだけなんだ」ってこと。fresh bruisesこれはすごく自然な流れで出来上がった曲だった。まさに俺たちが作りたかったもので――つまりバースとコーラスの繰り返しじゃなく、もっとエレクトロニックなヴァイブスがあるっていう。俺が聴いている音楽はそういう、フックを軸に展開して、ドロップがあって、ビルドアップがあるものなんだ。EDMって意味じゃなくて、もっとローファイなエレクトロニックで、アバンギャルドな感じ。もっとジャムっぽくて、そういう自由な感じのものを作るのはいい気分だった。mother tongue“愛”こそがこの曲で伝えたいことで――誰かに向かって「駆け引きなんかしなくていい、ただ自分の気持ちをオープンに表現すればすべてうまくいくんだから」って言っているんだ。heavy metal (feat. Rahzel)(ビートボックスのレジェンドの)ラゼールを呼ぼうっていうのは、(キーボードの)ジョーダン(・フィッシュ)のアイデアだった。まるでビートボックスを乗せたようなビートができていたから。俺たちはデスメタルみたいなサウンドのクレイジーなバンドだったところから、今はポップミュージックをやるようになって――それに腹を立てている人がいるんだよね。俺たちは今やっていることに自信があるし誇りに思うけど、そうはいっても人間だし、不安を抱えている。この曲は、「こんな最低な曲聴いたことねえ。このバンドどうしちゃったんだ?」って誰かに言われたらいまだに気が滅入るっていう、ちょっとした仲間内のジョークなんだよ。i don’t know what to sayこれはがんで亡くなった友達のことを歌った曲。そんな状況で何を言えばいいのか考えていて、彼の最期の数日間に会えなかったことを後悔しているんだけど――その理由の説明でもある。彼の強さと勇気、そしてすべてを冷静に受け止めていた事実に言葉を失って、それをなんとか歌詞にしようと全力を尽くした。これは身近な人をがんで失くした人たちからよく聞く話だけど――とにかく信じられないほど強く、勇敢になるんだ。 このアルバムはApple Digital Masterに対応しています。アーティストやレコーディングエンジニアの思いを忠実に再現した、臨場感あふれる繊細なサウンドをお楽しみください。

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