前作「Riot City Blues」から新たなフェイズに突入した感のある Primal Scream 。本作「Beautiful Future」はレーベル移籍後の9thオリジナル・アルバムだ。毎回そのタイトルづけがうまいバンドだが、本音か皮肉か分からないタイトルにまず驚かされる。3rdアルバム「Screamadelica」以降、新作でどんな音を身に纏うかが話題になるバンドではあったが、本作ではそういった要素は CSS の Lovefoxx との共演作であるフューチャー・レトロなエレクトリック・ブギー、 "I Love to Hurt (You Love to be Hurt)" で聴くことができる。だが、何よりも彼のファンにとってはまずはオープニングの "Beautiful Future" から "Can't Go Back" へと続く疾走感に喜びを感じることだろう。これらのアップテンポなナンバーを聴くだけでボビー・ギレスピーの元気に両手を叩きながらスデージで歌う姿が脳裏に浮かぶ。 さらに Babyshambles や Bloc Party を手掛けた Paul Epworth 、最近は Lykke Li をプロデュースした Peter Bjorn & John の Bjorn Yttling をはじめとした4人のプロデューサーの起用による各曲のバラエティ感、そしてポップを意識したソングライティングが功を奏し、風通しの良い作品となっている。