渡欧直前に吹き込まれた本作と「A Swingin' Affair」は共に彼の傑作として名高い人気作だが、ジャズを知る格好の入門盤としてもオススメしたい。スウィンギンな"Cheese Cake"や"Love for Sale"といったナンバーで聴くことのできる、メロディの良さを際立たせる歌心あふれたプレイ。大らかで色気のあるサックスの音色が都会的な魅力を放つ。日本でも人気のソニー・クラーク、ブッチ・ウォーレン、ビリー・ヒギンズによるリズムセクションとの相性も抜群で、バラードナンバーにおけるそこはかとなく漂う物憂げなムードも魅力。ジャズをジャズたらしめる、ハードバップという音楽の粋を気軽に堪能させてくれる本作は、肩肘張らずくつろいで楽しみたい。