1990年代に発表したアルバム5作でヒップホップの音像を飛躍的に進化させ、後のシーンに絶大な影響を与えたア・トライブ・コールド・クエストが2016年にリリースした再結成アルバム。Phife Dawg が同年3月の逝去前に録ったラップも含めて、既発表音源ではなくすべて新たに制作され、オリジナルメンバーの Jarobi や朋友のバスタ・ライムスに加えて、Kanye West やケンドリック・ラマーといった後に続いた世代、さらに日本人ジャズキーボーディストの BIGYUKI も参加している。時代性を色濃く反映したコンシャスなリリックが印象的で、Qティップの持ち前のソウルフルな魅力を2016年仕様にアップデートしたような音作りと相まって、懐古主義とは懸け離れたまがうことなきア・トライブ・コールド・クエストならではの力作に仕上がっている。