1950〜1960年代から世界屈指のジャズの都として知られていたパリから、アシッド・ジャズ旋風吹き荒れる1990年代に颯爽とシーンに登場し、そのエスプリあふれるサウンドで独特の存在感を放ってきたフランス人DJ/プロデューサーの DJ Cam。本作は、彼がジャズ・ミュージシャン3人と共に結成した DJ Cam Quartet 名義で2009年にリリースしたアルバムだ。ここで奏でられているのは、“ジャジーなヒップホップ” ではなく “ヒップホップを通過したジャズ” と呼びたくなるようなサウンド。あくまでもクールで、とことんメロウで、どこまでも洒脱。女性ボーカリスト、Inlove のシルキーな歌声フィーチャーした Roy Ayers の "Everybody Loves The Sunshine" や Pharoah Sanders の "You'Ve Got To Have Freedom" をはじめとして、Donald Byrd の "Think Twice" やブラジリアン・ボッサ・ジャズの "Nebulosa" など、ヒップホップの定番サンプリング・ソースとして知られるクラシック・トラックをカバーしているあたりもニクイ。