River's Island

River's Island

完成度の高さにおいては1984年当時のポップシーンでも屈指の一作であり、ファンからも圧倒的な人気を誇る通算2作目のアルバム。前作『AQUA CITY』は夏や海を舞台にした楽曲が集められていたが、今作はジャケットが表しているように都会や街をテーマにしており、その舞台は夜。それだけアダルトかつシックな感覚に寄せていて、サウンドは当時のR&Bやブラックコンテンポラリーを指向したAORを基盤としている。顕著なのはファンキーな感覚が宿る「Do It Again」、メロウなポップナンバー「Because」で、このあたりは9曲中7曲の作曲と編曲を手掛けた林哲司の手腕によるところが大きく、また杉山清貴はそのクオリティに応えるだけの歌を聴かせている。ダンサブルな「Asphalt Lady」、歌謡曲の匂いをまとったミディアムポップチューン「君のハートはマリンブルー」といったシングル曲では大衆へのアピールを意識しており、アルバム全体の路線とは異なってはいるものの、こうした幅の広さまで含めて聴けるのがこのバンドの楽しみ方の一つだろう。杉山とオメガトライブがブレイクを果たすことになった本アルバムは、1980年代の音楽シーンの一ページを鮮やかに飾った作品の一つである。

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