20年以上という長いDJキャリアの中で培われたセンスを武器に、クラブ・ジャズやハウスはもちろんのこと、サンバやボサノバなど南米系など多彩なジャンルの音を操る須永辰緒のソロ・ユニット Sunaga t Experience 。2ndアルバムである本作「DOUBLE STANDARD」では、自由自在にジャンル間を縦断していた前作「CROUKA」すら軽く凌駕するクロスオーバー感が圧倒的だ。中でも注目なのは山下達郎のカヴァー “FUTARI” 。沖縄民謡の歌い手、仲田まさえの歌とジャジーなブレイクビーツサウンドの組み合わせが “オシャレ” という形容を許さぬレベルで強烈な異物感を放つ怪作。ハンド・クラップと女性ボーカルがグルービーな “You’ll Never Dance Alone” や、デトロイト・テクノ・スタイルの “Double Standard” といった軽快なダンス・ナンバーもあるにはあるが、全体的な印象としてはディープな歌モノが目立つという点もこの手の作品では非常に珍しい。十一三十一が歌うブルージーな “路地裏” や、琉球アンダーグラウンドが参加した “ヤチムン通り” の映画音楽のような世界観は、リスナーの陶酔を誘う強い魅力を持っている。