トリッキーな一面を持ちつつもその土台には盤石な実力を備えるクチロロが、その足場を、坂本龍一も所属することで知られる commmons に移し発表したメジャーデビューアルバムが本作「GOLDEN LOVE」だ。ディズニーランドか往年のハリウッド映画のようなめくるめく絢爛豪華なサンプリング・オーケストレイション "GOLDEN LOVE" で幕を開ける本作は、ハルカリを迎えた "COSMIC DANCE" 、スチャダラ・マナーなサウンドテクスチャーと、かせきマナーなタイトルの "夏草" 、元祖ジャパニーズ・ラッパー、いとうせいこうを迎えるに最大限のマナーを用意してみせた "おばけ次元" 、クチロロがプロデュースした submarine との共演 "サブマリンのせい" 、アルバム収録曲も使って再構築し直した00年代風メガミックス "Ninguojounu" 、小沢健二のおもかげがチラチラする "GOLDEN WEEK" など、いかにも90年代育ちな記憶をフル稼働して、あの時代の輝きを単独でひと回りさせてみせた快作だ。