デビューから20年、現行メンバーがそろってから12年を経て、飽くなき探求の道のりの中で見つけた“テナー”サウンド。ベスト盤2作品やEP『Blank Map』を挟んで2020年にリリースされたアルバム『Applause』は、驚くほどフレッシュで生き生きとした楽曲と、風通しの良いバンドメンバーの呼吸によって成立している。シングル曲が並ぶアルバム序盤はもとより、現代型ファンキージャズのコンビネーションを巧みに取り入れた「倍音と体温」、突き抜けるように爽快なコーラスと挑発的なラップを行き来する「Death Game」、物憂げなスウィング感で情緒を表現する「Dry Flower」など、本作のストレイテナーはただ新鮮な曲調に挑むばかりではなく、スッとふに落ちるキャッチーさを獲得するところまで入念なアレンジを練り上げている。2020年代のロックバンドの在り方を、彼らでしかあり得ない方法で提示してみせたアルバムだ。