創作 - EP

創作 - EP

「n-buna君は、枯れない泉なんです」。ヨルシカのボーカリストsuisは、Apple Musicに語る。ヨルシカのコンポーザーであり、音楽への飽くなき探究心を持つn-buna。彼の創作の源泉を知ることで、ヨルシカの作品はより深く楽しめる。ヨルシカが2020年に発表した『盗作』は衝撃的なアルバムだった。そこに描かれた“音楽の盗作をする男”の物語は、複雑な現代社会を生きる人々に刺激と感動を与えた。それに続くEP『創作』について、n-bunaはこう語る。「『盗作』の次に『創作』を出すことは初めから決めていました。この2作は同時期に、同じような手法で制作しています」その言葉の通り、『盗作』と『創作』には同じモチーフがたびたび登場する。例えば「強盗と花束」には、『盗作』の「思想犯」で男が手にした凶器が登場する。「『盗作』で描いたのは、思想犯による世間的に認められない行為でした。対して、『創作』では実際に強盗という罪を犯してしまう男を描いた。歌詞の中では何をやっても許される、それが“創作”であると考えました」「強盗と花束」の主人公は、自分が間違っていることを知りながら衝動に身を任せる。suisの歌声からは、その危うい心の動きが生々しく伝わってくる。「主人公の気持ちになって歌うというのは、役者さんが役を演じるのにすごく近いものがあると思います」とsuisは語る。「『強盗と花束』では罪を犯す気持ちと、それを自分の中にある正義の天秤(てんびん)にかけることで生じる葛藤を想像しました。歌っている間ずっと考えていたら自分の中に罪の意識が入り込みすぎて、この曲を録った日は熱を出してしまいました」。続けてn-bunaはこう言った。「suisさんはどんな表現も感覚的にできてしまう。僕はセンスや才能という言葉があまり好きではないけれど、そうと言わざるを得ないものがあると思います」『盗作』および『創作』の2作を作るにあたって、n-bunaは「人々が受け入れがたいもの、忌避しているものを題材として取り扱いたかった」と説明する。「嘘月」はそのテーマについて2人で話し合う中で生まれたという。「だいたいの曲が出そろって、あと1、2曲欲しいなぁというときに、“うそつきは泥棒の始まり”という言葉を思い出して、n-buna君に“うそつきはどう?”って軽い気持ちで提案しました。そうしたら意外とウケて“いいじゃん!”と言ってくれて、あっという間にデモが上がってきました」(suis)「ほんとに一瞬で作ったよね。うそをテーマにするなら物寂しげな曲がいいだろうなと思って、そこから思いついたのが、俳人の尾崎放哉だった。彼の寂しさが曲とマッチすると思ったので、放哉の晩年の様子を情景として思い描き、彼の句をオマージュしながら作りました」(n-buna)物事を感覚的に捉え、表現するsuis。そんな彼女からインスピレーションを受け、想像の翼をどこまでも広げ、印象深い楽曲を生み出していくn-buna。このコンビネーションこそがヨルシカの魅力。新型コロナウイルスの感染拡大によって誰もが不自由な生活を強いられているが、彼らの創作意欲は尽きるどころか増すばかりだ。「コロナで家を出られない状況になったからこそ、部屋の中で表現する創作行為が今たくさん生まれていますよね。リモートだけで楽曲制作からリリースまでを完結させたり、インターネット上の取り組みがバズったり、この状況だからこそ起きていることがあって、技術革新的とも言える。それは創作にとって一種の良い風が吹き込んでいるということだから、悪いことばかりじゃないなぁと僕は思っています」(n-buna)

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