3人が奏でる透明感のある音色と優雅な軌道を描くメロディが、恋の美しさと尊さ、そして切なさを教えてくれる。2020年5月に発表された「絵空」がSNS上で注目を集め、Z世代を中心に厚い支持を得たマルシィ。彼らが放つメジャーファーストフルアルバムには、過去にリリースされたデジタルシングルのうち6曲と新曲4曲が収録され、そのすべてがラブソングである。恋の始まりや、ときめきの真っ只中、2人の関係が終わる瞬間、独りになってもなお途切れない思いなど、恋愛にまつわるさまざまなシーンが主人公の心境とともに切り取られる。率直な言葉たちと、バンドサウンドを軸に幅広いアプローチで届けられるサウンドは、乾いた地面に水が染み込んでいくように聴き手の恋の記憶にみずみずしさを与えるだろう。きらびやかなストリングスで彩られた「ラブストーリー」、ポップなバンドサウンドでときめきを描く「君のこと」、アコースティックと打ち込みで織り成す「未来図」といった新しいチャレンジや、ピュアな感性が光る初期曲「白雪」など、バラエティに富んだ楽曲群が並ぶ。恋物語だけでなくバンドの変遷を感じることもできる充実の作品だ。