Orbit

Orbit

日々生活する中で、“自分は自分でしかいられない”というテーマがふわっと頭をよぎって。同じところをぐるぐる回り、いろんな時期を経験して、またそれを繰り返していく、そんな感覚を覚えたというか、そのサイクルが『Orbit』、日本語でいうところの“軌道”みたいだなと。作品のコンセプトとしては、自分の内宇宙、インナースペースのイメージが念頭にありました」と、STUTSはサードアルバム『Orbit』についてApple Musicに語る。 2018年のセカンドアルバム『Eutopia』以降、パンデミックによって社会が大きな変化する中、彼が注力してきたのは自身の表現領域の拡張だ。音楽理論を学び、さまざまな楽器演奏の修練を重ねながら、配信限定のライブ音源『STUTS Band Set Live "90 Degrees"』に象徴されるようにバンド表現を進化させ、松 たか子や5人のラッパーをフィーチャーしたドラマ主題歌『Presence』ではヒップホップのマスアピールを実践。自身のラップ、歌唱を初披露した2020年のミニアルバム『Contrast』ではシンガーソングライター的な作品世界を追求するなど、ビートメイカー/MPCプレイヤーとしてシーンに登場したSTUTSは4年に及ぶ試行錯誤を経て、マルチな音楽家へと成長を遂げた。「もともと僕はラップから音楽に入ったので、2020年のミニアルバム『Contrast』では自分で歌詞を書いて歌って、トラックからラップ、ボーカルまで自分で完結させた曲を作りたいという長年の思いが形になりました。ただ、自分はプロデューサーだと思ってるので、今回の作品もそうですし、この先も自分が作ったビートに対して、どういうボーカリスト、ラッパーの方と一緒に作るのがいいのかを考えるところから曲を作っていくスタンスは変わらないと思います」 本作はそんなSTUTSの音楽における変化と不変を強く意識させる。JJJやCampanella、北里彰久、KMCといった親交の厚いラッパー、シンガーからAwich、SANTAWORLDVIEW、Yo-Seaら、初顔合わせとなるコラボレーターまで、総勢18名の豪華客演陣を適材適所に配し、ヒップホップからハウス、2ステップと、ビートのアプローチも多種多様。生楽器を緻密に編み上げたアレンジは8名のラッパー、シンガーがマイクを回す「Expressions」やインストゥルメンタル「Orbit - STUTS Band Session, Jan 14, 2021」における目くるめく展開やしなやかなテンポチェンジを生み出している。「最初に基本的なコード進行、メロディ、ビートを作って、そこに乗ってもらった15分とか20分くらいのバンドセッションをエディットした曲が4割。自分が作った曲に楽器をオーバーダブした曲が4割。後の2割はすべての楽器を自分で弾いて、最初から最後まで一人で作り上げた曲。今回の制作アプローチは曲によってさまざまでしたね」 LAのラップデュオ、Blu & Exileの一翼を担うBluをフィーチャーした「Lights」や5lackとの掛け合いで台湾在住のシンガー、Julia Wuがストーリーを紡ぐ「World's End」が物語るように、本作は海外アーティストともコラボレーションを行い、その視野をどこまでも拡げている。STUTSは言う。「今までやってきたことをこの先も研ぎ澄ませていきたいと思っているんですけど、日本だけにとどまらず、いろんな場所でライブできたらいいですね。とはいっても急に海外に移住してとかではなくて、今やってるスタンスのまま、海外でもじわじわと聴いてもらえるようになっていくのが理想ですね」

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