君に会いたいんだ、とても

君に会いたいんだ、とても

「歌ってる時の私は宇宙に行ってるので、きっと聴いている方もそういう気持ちになるんじゃないかな」。宇宙飛行士の野口聡一とのコラボレーションアルバム『君に会いたいんだ、とても』について、矢野顕子はApple Musicに語る。宇宙に強い憧れを抱き、いつか宇宙に行けることを夢見て、苦手だった水泳やダイビングのトレーニングを続けているという矢野顕子。このアルバムは彼女と、3度目の宇宙飛行を控えていた野口聡一が2020年に行った対談がきっかけとなって生まれた。その対談で矢野は野口に、宇宙で感じたことを書いてきてほしいと提案。それを受けて野口は、宇宙に滞在した半年間で14編の詩をつづった。地球に帰還した野口から詩を受け取った時のことを、矢野はこう振り返る。「(音楽にするに当たり)野口さんは『この中から使えるものを使ってよ』と言ってくださったので、私は『全部、曲を付けさせていただきます』って。野口さんは宇宙で思ったことや感じた気持ちを何も加工せず、そのまま書き連ねてくださった。それをシェアしてくれたことに感謝の気持ちでいっぱいでした」 野口聡一の手による詩は、歌詞のフォーマットにのっとったものではなかったため、矢野は「いかにポップソングとして成立させるかという難しさがあった」と語る。けれども、ひとたびピアノを前にすれば、彼女の心は自由に広い宇宙へと飛び出していった。全曲ピアノの弾き語りにしたのは、「自分の音楽を何もコーティングせずにストレートに出せるから」だと矢野は解説する。歌詞には、宇宙空間で生活し、数々の任務を遂行した野口だけが知る感覚が生き生きと描かれている。例えば「愛しい野菜」には、宇宙で植物は育つのかという実験の中で感じたことが書かれている。矢野は言う。「重力がほとんどない状態でも植物の命が日々芽生え、育っていく。それがいとおしくて、心のよりどころになる。植物を仲間として見る感じは宇宙に行った野口さんにしか分からない感覚であり、そういうことを書いてくださったのが本当にうれしかったです」 14編すべての詩が新鮮で刺激的な感覚にあふれているが、中でも「透き通る世界」は特に印象的だったと矢野は語る。「詩をもらった時からこの曲は特別だと思って、すごく時間をかけて作りました。宇宙飛行士は一歩間違うと確実に死ぬような環境の中に身を置いている。その任務を終えて地球に帰還する時、地球が“よく帰ってきたね”とほほ笑みかけてくれる。野口さんはそんな感覚を言葉で表してくださいました」。宇宙飛行士と音楽家による前代未聞の壮大なコラボレーションアルバム。野口聡一が宇宙で感じたかけがえのない思いや感覚を、矢野顕子が音楽を通して地球に生きる人々にシェアしていく。「これは野口さんが宇宙に行ってくれなければできなかったアルバムですから、命が懸かってると思っています。だから命を懸けて聴いてもらいたいです」

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