SuchmosのYONCE（Vo）こと河西"YONCE"洋介を擁する5人組バンドのファーストEP。日本の音楽シーンに大きな影響を与えてきたSuchmosのフロントに立つYONCEの新たなバンドとして注目される中、彼は普段着でふらりと近所へ出かけるようなスタンスで歌い出す。「論理はロンリー」で真理を探りながらゆるゆると思考を走らせ、「説教くさいおっさんのルンバ」では説教のむなしさを語りながら「俺もいつかする」ととぼけたように歌う。YONCEはこのバンドにおいて、意識的に脱力したスタンスを取っているように見えるが、その目は静かに時流を見据え、自分たちの向かうべき場所を冷静に見極めている。だからこそ敗北者としての立ち位置を語るラストの「敗北の作法」でも暗いムードはなく、むしろ自由で活気のある空気に満ちている。ゆうらん船の本村拓磨（B）らバンドメンバーによる演奏もシンプルながら職人技を感じさせるもので、ロックカルチャーへの敬意がにじむ。一見肩肘張らないようでいてラディカルな意思がうかがえる、Hedigan’sの旅立ちを彩る全6曲。