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高橋幸宏の09年発表のフルアルバム。2000年代の高橋といえば、彼のトレードマークでもある「せつない」メロディラインを極寒エレクトロニカと見事に融合させた細野晴臣との Sketch Show に始まり、そしてその方法論の集大成でもある06年のソロアルバム「Blue Moon Blue」、そしてその同じ「道具」を持って、今度は「ベッドルーム」から飛び出し、原田知世や高野寛など複数の個性たちと共にその風景を広げてみせた新バンド Pupa などによって、エレクトロニカという「道具」のあらゆる可能性を試み、本作もその延長線上に位置することは間違いない。ポスト・ジャーマン・エレクトロニカの重要バンド Lali Puna の Valerie 孃とのデュエットで幕を開ける本作は、シガー・ロスのサポートでも知られる amiina に始まり、盟友スティーヴ・ジャンセン、セニョール・ココナッツでも知られるアトム・ハート、日本からはコーネリアス、 Pupa の仲間でもある高田漣、そして全体のサウンドをトリートメントする同じく Pupa の同志でもある権藤知彦が参加。中でも、あらゆる弦楽器に始まりグロッケンシュピールやメタルフォン(どちらも鉄琴)、ツィター(映画「第三の男」テーマ曲で有名な弦楽器)などを操る amiina や、ブズーキやマンドリンを披露する高田漣といった至ってアコースティックなミュージシャンと、完全なるプログラミングサウンドを披露する権藤知彦との同居は、高橋の音楽の変遷が、エレクトロニカと呼ばれる音楽から枝分かれしたいくつかの支流のひとつにフォークトロニカが存在する歴史と軌を一にするようで興味深い。

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