1979年4月リリース。この直前に放送されたテレビの特番『山口百恵 激写／篠山紀信』との連動作だが、番組と無関係の楽曲もあり、そこから発展させたアルバムと捉えるべきだろう。夜をイメージした曲が多く、そこかしこにプログレッシブロックやハードロックの影が見える。冒頭の「マホガニー・モーニング」は作曲者の芳野藤丸がギターを担当するロックバンドのSHOGUNがバックを務め、ピンク・フロイドを想起させる音のスペクタクルを展開する。来生えつこ、来生たかおの姉弟は語りかけるようなボーカルが優しく響くポップソング「おだやかな構図」を提供。そして阿木燿子と宇崎竜童のタッグは、歌唱中の沈黙が話題を呼んだヒットソング「美・サイレント」に加え、情念のこもった「想い出のミラージュ」、ささやきかける歌声で漆黒の世界へといざなう「夜へ…」と鮮烈な3曲を寄せている。