映画音楽の大家として知られる作曲家ヘンリー・マンシーニによる、ジャジーかつファンキーで、常にパンチの効いた音楽は、まさに時代を象徴するものだった。マンシーニはニューヨークの名門、ジュリアード音楽院で学び、第二次世界大戦中は軍に所属してマウトハウゼン・グーゼン強制収容所の解放にも携わる。その後カステルヌオーヴォ=テデスコとエルンスト・クルシェネクに師事し、再結成されたグレン・ミラー・オーケストラのピアニスト兼アレンジャーとして活動した彼は、1952年にユニバーサル映画に入社。マンシーニはそこから数十年にわたって、映画音楽の最前線を走り続けたのだ。『ピンクの豹』はピーター・セラーズ演じるクルーゾー警部が人気となった1963年製作の映画で、ミステリアスで抜け目ない豹の優雅な足取りを描いたメインテーマは世界中で広く親しまれ、マンシーニの代表曲の一つとなった。