希代のスケール感を持ったロックンロール・バンドが2010年にリリースしたメジャー初アルバム。ここでの彼らは、まるで新しく生まれ変わったかのように、じつにオープンな雰囲気のサウンドを鳴らしている。もともとグラムやガレージ、ハードロックといった往年のロックンロールに宿る色香や豪快さを21世紀に復権させたバンドではあるが、前作「Gloomy」はヴォーカル志磨遼平が自らの毒々しい内面を吐き出した、非常に生々しい味わいだった。しかしここではその暗い淵から心機一転、外に向かって飛び出していく勢いにあふれている。ことに冒頭の3曲と “バンドワゴン” の瞬発力は素晴らしい。かたや、前年の忌野清志郎の死去を受けて書かれた “それすらできない” や最後を締めくくるアコースティックな “晩年” では、志磨の抱える孤独感がこのバンドの世界に深いものを与えている事実が感じられる。また、ベースの栗本ヒロコが唄う “すてきなモリー” もチャーミングな彩りをもたらしている。奥野真哉(キーボード/ソウル・フラワー・ユニオン)、おおはた雄一(スライドギター)といったゲストも好サポート。トータルではアメリカンな印象の乾いた音色が心地良く、楽曲の多くもメジャー・コード。ライヴの現場で磨かれた演奏力の向上も、4人が内包していた陽性の攻撃力に結びついている。
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